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ニンテンドー3DSがブックリーダーになればいいよ - 『電子書籍の衝撃』を読んで

21:06, Posted by dowawan, No Comment

このエントリーの趣旨は「3G回線が搭載されるであろうニンテンドー3DSに、ブックリーダーを搭載させたら凄いよね」というものです。
ます断っておくと、ニンテンドー3DSに3G回線が搭載されるという前提自体が私の予想でしかありません。

『電子書籍の衝撃』を読んで
『電子書籍の衝撃』は初日にサーバ回復と同時に購入して、通勤電車の中で読みました。
あの事件についての感想、初めて電子書籍を購入した感想、iPhoneで電子書籍を読んだ感想、この本の内容についての感想がそれぞれあるのですが、読み終えた後に私が思ったのは「ニンテンドー3DSがブックリーダーになれば一気に電子書籍が普及しない?」の一点でした。

なんで『電子書籍の衝撃』を読んでゲームの話になるんだよ、と思った方、すみません。
私は電子書籍が普及するにあたって、ブックリーダーの普及台数が大きな問題になると予想しています。
現在ブックリーダーの最大勢力として挙げられているのは、KidleとiPad/iPhoneの二大勢力でしょう。後はAndroidを含むスマートフォンが今後は伸びてくるのでしょうか。
しかし他にも全世界で恐るべき普及率を誇るデバイスがあります。それがニンテンドーDSです。

ニンテンドーDSの普及率
ニンテンドーDSの累計売上台数は、国内だけでも2010年3月21日時点で3000万台を突破しています。(エンターブレイン調べ)
もちろんこの数字が即3000万人の日本人がDSを所持していることを意味するわけではありません。私も初期型のDSとDSiをそれぞれ一台ずつ所持しています。
しかしこの数字は圧倒的な数字でしょう。
また、ニンテンドーDSの普及率は女性、高齢者の割合が高いのも強みです。
少々古い資料ですが、「任天堂カンファレンス 2008.秋」の社長講演である程度具体的な数字が出ています。
これだけ普及しているニンテンドーDSにブックリーダー用ソフトを搭載すれば、ハード面における電子書籍の普及はかなり進むでしょう。
それでは何故、ニンテンドーDSでは電子書籍を販売していないのでしょうか?

現状におけるニンテンドーDSの電子書籍
実は、現在のニンテンドーDSでも電子書籍の販売は行われています。
正確にいえば、動画・漫画・書籍の有料配信サービス『DSvision』が株式会社am3によって提供されています。このam3はゲームボーイアドバンスにも『アドバンスムービー』という動画サービスを提供していました。

でもこのDSvision、ユーザはあまりいません。私も興味を抱いたことすらありません。原因は2つ。
1つ目はコンテンツが少ないこと。『電子書籍の衝撃』の読者でこれを致命的と思わない人はいないでしょう。
今サイトで確認してみたところ、動画117件、漫画97件、書籍234件でした。お話になりません。

追い打ちをかけるように2つ目。手順が異常に煩雑。
まず、DSのスロットに挿す専用アダプタカードとmicroSDとリーダ/ライタを用意する。それからPCにインストールした専用ソフトを使用して購入・転送を行う。リーダ/ライタから抜いたmicroSDをアダプタカードに入れてDSに挿す。
アダプタカードを挿すスロットはゲームを挿すスロットなので、ゲームをしたければ当然カードを交換しなければなりません。
…これはもう問題外です。

DSとDSiの仕様
ただ、この煩雑極まりない手順は、DSのハード仕様的に仕方がなかったのでしょう。DSにはカードを交換して起動するソフトとは別にピクトチャットというソフトが内蔵されていて、発売当時はゲーマーを驚かせたものですが、内蔵ソフトの追加やファームウェアの更新などはできない仕様でした。
また、内蔵メモリが乏しいため、外部メモリを導入しようとするとアダプタ+microSD的な設計になってしまいます。

この問題はニンテンドーDSiの時点で解決されました。
ニンテンドーDSiでは、DSにあった下位互換性を確保するGBAスロットを廃して、SDメモリカードスロットが実装されました。
また、Wi-Fiを通じて『DSiウェア』と呼ばれるソフトを直接本体にDLする『ニンテンドーDSiショップ』が導入されました。DSiウェアは本体メニューから起動できるため、いわゆる便利系ソフトがスロットを巡ってゲームを衝突することを避けられるようになりました。

まあ、せっかく便利になったにも関わらず、DSvision用のDSiウェアは何故か提供されていませんけどね。なんででしょうね。
コンテンツが少ない時点で問題外ですし。

ニンテンドー3DSの隠し玉について
さて、先日発表されたニンテンドー3DSですが、今のところ世間一般で話題になっているのは裸眼3Dでしょうか。それ以外めぼしいネタもないですしね。
ただ、それだけでは終わらないだろう、というのがゲーマーの予想です。
岩田社長がKindleのモデルに興味を示す発言をしていたこともあって、3DSには3G回線が搭載されるだろう、というのが有力説です。参考記事
3DSが「3D Screen」と「3G DS」のダブルニーミングというわけです。
私もあり得る話だと思います。任天堂はDSでゲーム機に無線LANを標準搭載して、「カンタン」「あんしん」「無料」のネットワーク構想を掲げました。あれから数年経っているのに3DSでも全く進歩がないというのはちょっと考えられないでしょう。

これが当たっていれば、3DSはKindleと同様のビジネスモデルを展開することが出来るわけです。
またシャープの発表を受けてDSでは240×160×2だった画面サイズが480×854になると噂されています。
電池の寿命も大幅に向上させるようなので、ブックリーダーとして持ち運ぶことも可能になるのではないでしょうか。

誰が商売をするのか?
任天堂がメインになってガッツリ交渉してくれれば嬉しいですが、まあありえないでしょう。任天堂はパッケージ文化で、サービスは他所に任せることが多いです。Wiiで展開している動画配信サービス『Wiiの間』も電通と共同ですしね。しかも任天堂はコントローラ以外のインタフェースをデザインするのはヘタクソです。ショッピングチャンネルの使いにくさは異常だと思います。
am3はまた何か配信サービスをやるんだろうけど、コンテンツを揃える力がない時点で全く期待できません。むしろ悪印象な分だけ邪魔です。
ディスカヴァー21さんがライセンスを取って頑張ってくれたら応援したくなるんですけどね。

最後に
「PSPはコミック配信してるけどそっちはどーなんだ」「流通とベッタリの任天堂は本格的なゲーム配信をしないだろうし3G回線は旨味がなくて現実的じゃない」「マジコンとか不正コピー問題はどうなってるんだ」などなど気になる点はありますが、とりあえずここで締めます。
あ、でも不正コピー問題は電子書籍一般の問題として気になります。出版業界は音楽業界ほどコピーアレルギーではないんでしょうか?

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